オーナーシェフから都市農家へ。
料理人経験を活かした多角的農業経営

Farmer's interview 002 FTBドリームファクトリー 小松 勝治さん

ファーマーズインタビュー小松さん

大阪市東住吉区在住、47歳にて堺市で新規就農した小松 勝治(こまつかつじ)さん。
現在農業暦5年の新人農家ですが、農業に至るまでの特徴的なストーリー、既存のあり方にとらわれない農業を実践し、小さな畑から大きなうねりを生み出しています。

農地は大阪市内ではないですが、活動の多くは市内で展開されている小松さんの農業のカタチから、都市農業の可能性を探ります。

ファーマーズインタビュー小松さん

堺の小さい畑で様々な西洋野菜やハーブを栽培されています。

飲食店経営から農業へ

ファーマーズインタビュー小松さん

小松さんは無農薬有機栽培を実践されています。育てたい野菜とうまく共生する塩梅で雑草をとっていきます。

小松さんは就農するまでは、ご自身でイタリアンを中心としたレストランのオーナーシェフとして、 大阪市の帝塚山で飲食業を10年ほど営んでいました。
飲食を突き詰めていく中で、欲しい野菜や、本当に美味しい野菜が手に入りにくいという不満が募り、 だったら自分で作ってしまおう!ということで一念発起。農業の世界に進むことを決心されます。

しかし、だからと言って順風満帆に就農できるわけではありませんでした。
市内ではもちろん就農できる環境はなく、相談に言った堺市役所でも「素人が急に農地を借りるのは無理」と門前払いにあります。
そこから1年、農業学校に通うことになり無事堺区で農地を借りることができました。

料理人の経験を活かして、珍しい西洋野菜やハーブなど、飲食店で重宝される野菜をメインに栽培を開始しました。
「農家一本でやっている方の多くは、料理のことをあまり知らない人が多いんじゃないんですかね」と小松さん。
イタリアンやフレンチなど、様々なジャンルの料理で、どういう風に野菜が使われているかわかるからこそ、小松さんのような品種の選択や売り先も多様な農業が可能なのかもしれません。

ファーマーズインタビュー小松さん

イタリアンなどで活用できる西洋野菜。料理のことを知らないと選べない品種です。

これまでの経験をフルに活用し、自分のやりたいと思った道を突き進む

小松さんの畑は見たことのない野菜がたくさんです。
特にサボテンが一つだけポツンと生えている風景には驚きました。
「これも、遊びでやっているわけではないんですよ。笑 サボテンから取れるペクチンはジャムなどを固める成分に使えるんです。僕は加工品を作って販売もしているのでちゃんと意味があるんですね。まぁ、自分は普通と同じことをするのは嫌っていう、あまのじゃくなところはあるかもしれませんが。」
10代の頃から海外に渡り、貿易業を企業したり、独学で料理を学びレストランを開店してしまう小松さんの行動力。
小松さんの大きなウリは、何と言っても自分のやりたいと思った道を突き進む行動力と言えそうです。
さらに言うと、その経験を生かした商品開発力と、一流の飲食店との連携、そして自身で運営するマルシェも重要な活動の一つになっています。

ファーマーズインタビュー小松さん

実際に雑草が害虫の攻撃対象になってくれて、野菜を守ってくれていると小松さん。

色んな仕事をしてきたからこその人のつながりを活かす

実際に今マルシェは、レストラン時代に活動していた住吉区、堺区や住之江区でも運営しています。
なぜここまで多岐にわたる活動が実現でいているかというと、これまでの活動で築いてきた人のつながりが今も生きているとのこと。
「僕は農家同士で繋がることも大切にしていますが、それよりも他業種の人とのつながりをもっと築いていかないといけないと思っています。積極的にイベントにも足を運びますし、自分の畑にも新規就農希望者や市民の人の体験や研修として、多くの人を受け入れたりしています。人と繋がれば、そこから生まれる事業の可能性は無限に広がっていきます。」

確かに、マルシェには多くの飲食店が出店してくれていたり、常連のお客さんが畑にも遊びに来たりなど、いつも小松さんの周りには人がいます。

小松さんの農業で実現したいこと

話の最後に、小松さんにこれから農業で何をやっていきたいか聞いてみました。 「実は10年以内に日本を出ていければと思っています。ラオスやミャンマーと言ったアジアの国々で農業を軸とした食品メーカーを作りたいと思っています。
僕は高校2年で中退し、単身香港に渡り、当時の活気あふれる若者の勢いに大変影響を受けました。一方で、アジアの国々の貧困な一面も見てきました。自分の経験を生かして、そういった場所に住む人たちに本当に美味しい食と自由を作りたいと思っています。日本の栽培技術を現地に伝え、美味しい野菜を現地で売るということにチャレンジしたいと思っています。」

初めて聞いた時は「食品メーカーを作りたい」という夢にはとても驚きましたが、小松さんのこれまでの経験が全て活きる、ならではの農のカタチだと気付きました。一方でそのための道のりとして、まだまだ日本でやることはたくさんあるとのこと。近いうちにさらに農地を借りて、経営を拡大したり、これまで経験のない大きなマルシェの開催も計画しているとのこと。

これから小松さんの農業が大阪の食文化、アジアと日本をどうつないでいくのか要注目です。

ファーマーズインタビュー小松さん

元気に育つフェンネル。天然の消臭効果があるので、安全志向の高いペットショップも欲しがるのだとか。

小松 勝治

farmer’s profile

小松 勝治さん

FTBドリームファクトリー
https://www.facebook.com/drry1
野菜を売らない農家。無農薬自然野菜生産から加工流通まで一貫することによりトレーサビリティの高い商品を提供しています。西洋野菜やハーブを中心に栽培。マルシェも多数自主開催中。

2016.3.28
report : yasutaka kaneda(NPO Co.to.hana)

梵菜農園 梵彩(西田 直司)さん

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